伝えておけばよかった(短編)
 玄関の扉をあけると、うさぎみたいに真っ赤な目をした、芽生(メイ)がいた。

 涙のあとはないけど、大泣きしたあとであることは間違いない。

 片手に、開封済みのポテトをもったまま、呆然とするおれに、芽生はいった。



「いっしょにきて、遼(リョウ)」

「は?」 

「いっしょにきて!」



 二度目は語尾を強くいって、おれに手を伸ばす。

 指がおれの、袖をぎゅうっとにぎりしめた。

 ぐいっとひっぱって、それから、今度はおれの手をとった。

 小さな手。

 そこから、ぬくもりが伝わってくる。

 
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