伝えておけばよかった(短編)
 空には、銀色にきらきらと輝く満天の星空だ。

 寒い季節のほうが、星が綺麗に見えると思うのはおれだけだろうか。

 町の喧騒も届かない山の上。

 周りには桜の木々。暖冬とはいえ、さすがに花は開いていないようだ。

 暗くてよくわからないけど。

 横に座って黙ったままの、芽生。

 おれも、とくに話題がみつからず・・・。


 
 なんか、きまずい。急に静かになるなよ。



「遼」



 ふいに、芽生がおれの名前を呼んだ。

 何気に横を向くと、瞳を閉じた芽生の顔が間近にあった。

 そして、柔らかな唇がおれの、それにふれた。

  
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