伝えておけばよかった(短編)
 芽生と、おれ、遼は、俗に言う、幼なじみというやつで、物心をつく前からのつきあいだ。

 父親の会社の社宅の、一階と三階にそれぞれすんでいる。

 幼稚園、小学校も一緒、今も同じ中学に通っている。

 もっとも、小学校のときは六年間一緒のクラスだったのに、中学になってからは一度も同じクラスになってない。

 現在中学二年。

 クラスが離れて、お互い部活を始めるようになって、なんだか、距離が遠くなった気がする。

 それまではお互いの家を当たり前のように行き来して、遊んでいたのに。もう一年はかるく相手の家には行っていない。

 学校であっても、たまに言葉を交わすくらいだ。


 
 別に意識して離れたわけでもないし、おれの中ではなにひとつ変わっていないんだけど、ね。



 泣き虫で、ちょっとわがままで、少し天然の入っている、芽生。遠くから見かけることばかりが多くなっていた。
 
 だから、部活が休みの放課後、特に予定もなく家でごろごろしていたおれの家に芽生がいきなりやってきて、正直、びっくりしていた。


  
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