課長さんはイジワル
第270話 半人前?
そして、週末明け、佐久間主任と給湯室前でバッタリと会ってしまう。

き、きまずいぞ。

佐久間主任は……ごくフツー。

いつものポーカーフェイスですね。

さすが、佐久間大明神様。

メンタル、強し!

だから、ここはメンタルめっちゃチキンの私の方が、ゴキブリのような低姿勢で逃げることに……。

「おはよう!」

佐久間主任、朝から改心の一撃!

杉原、心臓が止まりました。

「おはっ……おはっ……ようございま、す」

恐る恐る振り返る。

「普通に接して欲しい……って言っても無理か……」

佐久間主任が、傷ついてる?!

本当に……傷ついてる?

「あの……すみませんでした。

佐久間主任のお陰でここまで成長できたのに……。

私、佐久間主任が外資系に行かれましても……」

「それ、二つとも間違ってる」

えっ?!

深々と下げた頭を一気に上げる。

「お前はな、まだ、全っ然、半人前なんだよ!

いつ、成長したって言うんだよ?」

「佐久間主任……?」

た、態度が豹変してます。

「この間も、引けのレイティング、間違ってただろう?!」

「あ、あれはっ……」

はっ!

あれ、間違ってたんだ……。

今頃、気付く。

「すみません……」

そんな私のおでこに「半人前!」「役立たず!」と佐久間主任の容赦ないデコピンラッシュがお見舞いされる。

「いっ、痛いです!佐久間主任~~」

おでこを庇いながら、抵抗する私に佐久間主任が笑う。

「行かないよ、外資系。お前を一人前にするのが、俺の仕事でもあるんだから。

お前がこのまま半人前だと、俺の指導者としての資質が問われる。

早く一人前になれ」

佐久間主任……。

佐久間主任の優しさが胸にじんわりしみる。


「やばい!もう場が開く!急ぐぞ!!」

佐久間主任の後を追って、私も走る。








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