翡翠の姫君、琥珀の王子

翡翠の姫君、琥珀の王子に出会う

「姫様、この花祭の舞踏会がきっと、良い思い出になりますわ」

そう言って、サクラ姫を椅子に座らせた侍女は

サクラ姫を姉のように慕っているリンだ

「姫様、今宵は皆仮面を付けております、姫様の心の傷も癒えるはずです。」

今度はリンの双子の姉トモが優しく微笑みながら語る
「ありがとう、二人とも、でも私ダンスはあまり得意では無いのだけれど」

サクラ姫が苦笑しながら答えると
「「大丈夫ですわ、一番の上達方法は、踊りの得意な殿方と踊ることですわ」」
「「いってらっしゃいませ姫様」」

二人に促されダンスフロアに来たものの、
「一瞬のやすらぎが永遠であれば、皆心穏やかに過ごすことが出来ますのに、」
姫が悲しいそうに周りで踊る笑顔の人々を見て、ぽつりと言った

「魔法の石さえこの世界に無ければ平和だったかしら?誰の物にもならずに、消えてしまえば良いのに」

「私もそう思います、争う理由さえ無くなるなら平和な、苦しい思いをする人が少なくなると思うのに、何も変えられない、」

サクラ姫に話かけて来た少年、

「どなたでしょう?」

純粋に少年のことが知りたくなった。

「ここでは名乗らないのが礼儀ですよ、姫君?」

優しく微笑んだと仮面をつけていてもわかる。

「申し訳ございません、仮面舞踏会は初めてで、」

「私も初めてですよ?忙しい毎日で、見兼ねた部下に息抜きしろと」

「同じですわ、」

「いまの世界が悲しいと感じる人が多いなら、もう少し優しい世界になるはずなのにな」

「そうですわね」

しんみりした雰囲気のなか
「姫、今宵の記念に踊って頂けませんか?」

少年が話しかけた

「私ダンスは苦手で」

サクラ姫が言うと

「私も苦手ですよ」

少年が答えた

「きっと、足を踏んでしまいます」

「では、踏まれないように上手くよけましょう」

悪戯な微笑みをして、少年は、手を差し出した

サクラ姫はその手をとり、フロアの中心で踊った。
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