群青



「そいじゃ先輩。俺ら先に行きますから」


大友はやはり、名取には目も向けず肩越しに手をプラプラと振る。


あからさまに喧嘩を売ってる。すごく売ってる。


「……てめぇらいい加減にっ!?」



「あ~、そうそう。センパイがサボってた事、内緒にしといてあげますから心配しなくていいっスから」


あぁ、そんなもう。


火に油なんて注ぐ必要なんてないのに。


チラリと肩越しに覗いた名取先輩の顔は、うわぁ。


今にも法の一つや二つ犯しそうな表情をしていた。


怖ぁ。


「神奈川」


不意に呼ばれた自分の名前に「うん?」と反応する。


呼んだのは大友だった。


「俺よりもお前が気をつけろよ」


「……は?」


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