Dear だいすきな君
「あーもうだめだ!
結愛仰いで。」
悠河はあたしが貸した下敷きを
返してきた。
『えーなんで〜!
あたしだって暑いんだけど。』
「いーからいーからっ!」
『んもぉ〜』
あたしは下敷きを使って
悠河に風をおくる。
みんな暑さで
ぐったりしているせいか
話し声が聞こえない教室。
パタパタと下敷きの音と
〝涼し〜!〟という
悠河の声が
教室に響いていた。
まるで
二人だけの空間のようだった。