元カレ教師・完結編~君がいる日々、いない日々~
「村田君。
同じ文学部?」
「いえ…理学部ですよ。
理学部物理学科。」
「そっか。
理系か…かっこいいよな。
俺数学嫌いだから理系なんて選択肢なかった。」
そういえば、北条先生って数学嫌いだったな。
嫌いといっても、苦手ではないのがまた凄い。
だが、あたしは思うんだ。
「…どっちがかっこいいってないと思いますよ。
あたしは…文系でも理系でも、自分の好きな事を活かして生きてるのが一番良いと思いますし、北条先生が英語の先生って、似合ってると思います。」
それは、北条先生が男女問わず多くの生徒に慕われている事が示している。
「ありがとう。
そう言われると、何だか嬉しいな。」
それは、一人の教師と一人の教育実習生として、ごく自然に行われた会話だった。
実習が始まってもう2週間以上経ち、沢山話をしてきた。
きっとこれもその一つにすぎない。
だがあたしは、少しだけ昔に戻ったような気がした。
想い合っていた過去に似た、温かみを感じたのだった。
実際そんなものがなくとも、この感覚は忘れたくない。
心の奥が小さく震えた。