桜姫紀
「碌はな、家族を探しているんだ。」

「家族…。」

「アイツは幼い頃、家族と生き別れになった。」

生き別れ…。
どんなに彼は辛い思いをしただろう。
それを思うと胸が痛んだ。

「それで森の中で倒れていたのを・・・俺の父親、
先代の夜行の長が見つけたんだ。」

・・・・・・。
あんなに、強そうな人でもいろんな過去があるんだ。

「これ聞いたら碌のイメージ変わるか?」

「まさか!どんな過去があっても碌さんは碌さんですよ!!」

ふっ、と焔さんが笑い、私の頭に手を置いた。

「碌が変わったのも、桜のおかげだよ。」

え、変わった・・・?

「碌はな、誰と接しても誰と関わっても・・・
常に他人と一線引いてきた。
アイツが笑った顔なんて俺は見たことがなかった。

だけど・・・

お前が来てから碌は、笑って、面倒見もよくなった。
みんなお前に感謝してるんだ。

本当に・・・ありがとうな。」


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