こんな娘で、ごめんね。
母の独り言は、
やたら声が大きい。


普通の人が、誰かと会話するような大きさの独り言を話す。



関西から出てきて、周りには友人知人と呼べる人もいない。




唯一の家族である父もあたしも母の話に耳を傾けない。



そのせいか、
母は、気がつけば、独り言を話すようになっていた。




友達が家に遊びにくると、必ず『おばさん。誰と話してるの? 誰かいるの?』 って、昔から聞かれた。




あげ句の果てには
独り言に耳をたてながら、友達からは『晴美のおばさん。怖いよ』って、笑われた。





そう。



いつも
あたしの家族は、
滑稽だと笑われる。





笑われるたびに、
あたしは、母を怒鳴りつける。





『あんたのせいで、いつもあたしは、笑われるんだ』




『あんたのせいで、あたしは、ずっと嫌な想いをしてるんだ』





そう言って
あたしは、家の中にある物を投げつけた。






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