空へ
タマの悲劇

漫才

私は、金縛りにあったように舞台の脇で立ち尽くした。

緊張の限界点に達しているんだと思う。

そんな私を見て、隣の晴貴(はるき)が言った。

「珠希(たまき)、大丈夫か?」

私は動かない体でなんとか口を動かした。

「ねぇ、晴貴。私たち、売れるかな…?」

「あぁ、きっと売れるさ」

晴貴の顔は見えないけど、きっと晴貴は笑いながら言ったんだと思う。

晴貴の言葉が私の金縛りを破いてくれたのだろうか、私は自分の頬を両手でパンッと叩き、笑った。

「だよね!」

私を真似るように、晴貴も自分の頬を叩く。

「ヨッシャ!行くか!」

「オッケー!」

そうして私達は、久々の舞台へと飛び出して行った。



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