もう1度~私と先生と桜の木~




「…そうなんだ」


「何?ショックだった?」


冗談めかして聞いてみる。


「うん。ショックだった」


冗談で聞いたのに。

そんなこと言われたら私…


「奏も大人になったんだなあ、

と思ってショックだった」


「……………」


「痛っ!!なんで叩かれるんだよ」


「うるさいっ!!」


一瞬、期待しちゃったじゃんか。

よーたくん、ホントにイヤだ。

自分のこのド天然さに気がついていないが故に、人をドキドキさせるようなことサラッと言ったりして。


「…痛っ!!なんだよ奏!

機嫌悪いのか?」


「…バカっ!!

もういいもん。

みんなのところ行ってくるから」


久々の再会で

すごく嬉しかったのに。

やっぱりあの頃と変わらず、

よーたくんの言葉に振りまわされる。


…なんて、心の中で呟いてみたものの。

やっぱりまた会えたことの喜びが大きくて。

自然と、顔がニヤけていた。







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