もう1度~私と先生と桜の木~

聞きたくない聞きたくない





「やったー!

焼き肉だー!」


部員たちが騒ぐ。

私たちバスケ部は焼き肉屋にいた。



「俺…今月ピンチなのに…」

よーたくんがそう呟きながら財布を覗きこんでいる。


今日は春季大会1回戦が行われた。

無事、勝って前々から約束していた焼き肉によーたくんのおごりで来ていた。



「そこは遠慮なく食え!

ぐらいのことは言ってよ、よーたくん」


類がよーたくんの姿を見て苦笑いで言う。



「だって…だってさあ!」


「約束したよーたくんが悪いんじゃん」


類にそう言われションボリするよーたくん。

その姿にキュンとする。

誰にもバレないように俯いて顔を隠した。



「…よし!俺は腹をくくったぞ!」


突然、そう言ったよーたくんは



「腹いっぱい食え!

遠慮なんてすんなよ!

その代わり次も絶対勝て!」


と、叫んだ。


でもそのあとすぐに


「言っちゃった…」

と後悔したセリフをボソッと呟いていて。

たまたま私と目が合うとふっと笑う。


…ドキッ


ああ、もうダメだ。

なんで私、よーたくんの正面になんて座っちゃったんだろう。

このままじゃ心臓が持たないよ…






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