君がいれば・・・②
「奥様と若奥様は奥様の実家へ行かれています」



少しゆっくりになった韓国語に瀬奈は頷く。



という事は……この大きな家にわたしと家政婦さんしかいないんだ……。



2階へと案内する家政婦の後を瀬奈は付いて行った。



シンの実家は豪邸で広い。



階段を登ると一番奥の部屋に案内される。



「ここしか空いていないので」



まだ結婚していないのでシンと同じ部屋ではないのは承知しているが瀬奈が案内された部屋はまるで物置小屋のように見えた。



必要のなさそうなものが置かれ、ベッドもない。



覚悟はしていたがこれほどだとは思わなかった。



「この布団で寝てください」



隅にたたんである布団一式を手で示す。



ごく薄い布団一組が置かれていた。



「わかりました」



これくらいでめげていたらシンとの結婚を許してもらえない。




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