君がいれば・・・②
瀬奈の擦りむいた膝を手当てする為にマンションへ行く事にした。



眠っている瀬奈を起こさないように車を発進させる。




マンションへ着くと助手席に回り瀬奈を抱き上げる。



抱かれて移動している間も瀬奈はぐっすり眠っていて目を覚まさなかった。



「相当疲れているんだな……」



思わず声を出してしまう。



******



部屋に入ると真っ直ぐ寝室へ向かい瀬奈をそっとベッドに降ろす。



靴を脱がせるとシンはベッドの端に腰をかけ瀬奈の顔を眺める。



君が大変な目に合っているのに助けてあげられないなんて……。



自分の為に瀬奈が苦労しているのを見るのはシンにとって身を引きちぎられる思いだ。



一緒にいてあげたくても仕事が忙しい。



瀬奈の白魚のような指は荒れてしまっていた。



ハンドクリームを使っていてもすぐに炊事仕事をすると取れてしまう。



だからきれいなままを保てないのだ。



シンは瀬奈の手の甲をゆっくり撫でた。



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