君と桜と


「それにしても、三谷って見かけによらず、かわいい趣味してんな。びっくりしちゃったよ。」



坂城君の関心が三谷君に戻ってホッとする。



「・・・よく言われる。それと、隆司でいいよ。」


「おう!俺も翔太で。」



無口な三谷君と明るい坂城君は正反対のようだけれど、以外と気が合うようで楽しそうに会話をしていた。



奈緒はどっと疲れを感じてミルクティーにストローをさして飲む。

口に広がるミルクティーの味がいつもより甘い気がしたのはきっと気のせいじゃない。



三谷君の背中に向かって、心の中でそっとつぶやいた。



  ‘ありがとう’



< 29 / 205 >

この作品をシェア

pagetop