君と桜と

思い込み



すっかり夏らしく、朝から蒸し暑いこの日、奈緒は軽やかな気持ちで教室へ向かう階段をのぼっていた。
そう、先週で期末試験が終わり、テストに追われない、平和な日々が戻ってきたのだ。

テストの結果は少し気がかりだけれど、もうすぐ夏休みだと思うと、気持ちが高ぶる。


2年生のクラスがある3階に到着すると、掲示板の所に人だかりが出来ていた。


「絢っおはよう!」


奈緒は素通りして教室に入るつもりだったけれど、その中に絢の姿を見つけて声をかける。


「おはよ。テストの順位が張り出されてるよ!」


「私は見たってしょうがないからなあ。」


成績上位者が発表される掲示は、これまで奈緒とは無縁のものだった。
でも、勉強を頑張っている絢が載っていたら嬉しいな。
そう思いながら、ちょうど前の人が抜けてたところに入った絢のあとに続いた。






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