星の輝く夜に
プロローグ


「お父さん!」


少女は、満面の笑みを浮かべて、夜空の下の丘を走りながら、そう叫んだ。


その後ろを、父親がゆっくりと歩きながら後を追う。


「ねぇ、お父さん!おんぶして!」


少女は父親のもとへ駆け寄り、その両足に抱きいてくる。


「はいはい、分かったよ」


父親はその大きな手で娘の体を抱いて、その肩に乗せた。


「うわぁ、高い!」


少女は嬉しそうにそう言って、父親の頭にしがみついた。


「ほら、空を見てごらん。星がきれいだよ」


「本当だ!すごいすごい!」


父の肩の上ではしゃぐ娘に、父は嬉しそうに声をかけた。


「展望台まで行ってみようか」


「うん!」


人がまばらな展望台、噂によれば、あと1年以内に潰されてしまうらしい。


彼らは肩車をしながら、展望台の中へ入って行った。








< 1 / 20 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop