【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
アッキー先輩から飛んできたメッセによると、スコールのせいで迎えに行くのが遅くなるらしい。


「うー、暑いのに、寒い……わけわかんない」


高熱のせいで、悪寒がするのか、狭い洞窟のほとんどを占領してやがる春風が唸っている。


「ちっ……しょうがない。これでも着てろ」


私は水着の上に羽織っていたパーカーを脱いで、水気を絞り、春風の上にかけてやる。


水の中に入っても大丈夫なやつだったおかげで、絞っただけで水気はだいぶなくなり、まマシな代物になったし。


「んー、ひーちゃんの、シャンプーの匂いが、少しして、なんか心地良い」


熱に浮かされた春風が、目を細めて笑う。高校入学してから、なんか妙に大人に近づいてく春風が、熱のせいで、少し色っぽい。あの夏見た、私の知らない春風と同じ顔。
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