【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
我が家の下はお父さんが経営しているジムがある。
素人から学生、プロと様々な人がいて、この業界だと結構有名なジムらしい。
先に下に行っていたお父さんは、高校生の子の相手をしている。
「じゃあ俺はこれからスタジオ行くから、二人とも頑張ってー」
影兄は肩にギターをかけて片手には譜面を抱え、ウキウキした気分を表現するような足取りで走って行く。
「さて陽菜子、親父も調度向こうに掛かり切りだし、宜しく頼むよ」
「私が吹っ飛ばない程度にね」
私はスパーリング用の道具を体に身につけながら、隣で準備する龍兄に笑った。
まあ、この男に手加減なんて言葉がないのは妹の私としては良く分かっていることだけど、一応、ね。