【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
龍兄はハンデとして手足と腰に錘を着けている。


でも、逆にあれに慣れられると、パンチやキックが更に重くなるからこっちにとってもリスキーだ。


レフリーに入る父。私達はグローブ越しに拳をゴツンとぶつけ合い、試合を開始した。


「先手必勝って、ね……っ!」


私は早々にテコンドーの経験を生かした素早い蹴りを、初っぱなから龍兄にお見舞いする。


「っ……!大事な試合の前に妹に負けてたまるか!」


龍兄は目の色を変えて私に向かって来る。


やっぱり戦いはこうじゃなきゃ。雑魚ヤンキーやナンパ男の相手より、只でさえ強くて歯が立たない龍兄の全力と戦える方がよっぽど楽しい!


私は最後にそんな想いを抱きつつ、雑念を薙ぎ払った。
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