君を忘れない

-7-

8時になったところで全ての係の説明が終わったらしく、2年が神妙な顔つきで体育館に降りてくる。


ひとまず、今日の俺たち3年の仕事は無事に終わった。

副会長以外は・・・・・

あの人は一体2年に何を話したのだろう。


「じゃあ、そこでみんなと喋ってから行くから」


一体何を・・・


「ちょっと、真一。

聞いているの?」


「えっ?」


「みんなと喋ってから行くから」


「ああ」


そうだった。

今日はかよっぺがうちに泊まりに来るんだった。

さっきの副会長の説明のことばかり考えていて忘れていた。


「あんまし、考え事してると事故っちゃうよ」


「分かってる」


いくら考え事をしているといっても、バイクで事故を起こすようなことは絶対にするわけがない。

そこまで馬鹿にすることはないだろ。


「あの、それ俺のバイクですけど」


またがったバイクを見る。

全く馴染みのないバイクにまたがっていて、俺のバイクは隣ということに気づいた。


「わりぃ。

いや、いいバイクだなって思って」


適当に誤魔化して謝り、自分のバイクへとまたがった。

うん、今だけはちょっと気をつけたほうがよさそうだ。
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