君を忘れない

-3-

久しぶりにバドミントンをしたから疲れてすでに体の所々が筋肉痛のようになっている。

合宿が終わってから初めて行ったサークルは予想よりも気まずくはなかった。

しかし、今日は付き合っていた頃から影でこそこそ言っていた四年生や三年生がいなかった。

きっと、その人たちがいたら今はまだ気まずいだろうな。



駅から家までの道を歩いて帰っていると、携帯の着信音が鳴り響いたので開いてみるとトラさんからだ。

今日、気まずくなかったのはきっとこの人がいたことが一番大きい。

この人は本当に普段と変わらずにいつも接してくれる数少ない人だ。


「もしもし」


「あっ、もしもし。

あのさ、今から少し時間あるかな。

ちょっと話したいことがあるんだけど」


心なしか、電話の向こう側のトラさんの声はいつもと少しだけ違うように聞こえてくる。


「大丈夫ですよ。

今日は特に用事とかそういったものは何もないですから」


「よかった。

できれば直接話したいから、今から家の近くに行っていい」


直接話したい


別に今までも二・三回ほど家の近くまで来て話したことがあり、初めてのことではない。

それなのに今日は何故だか落ち着かないのは、きっとトラさんの声がいつもと違って聞こえるように思えるからだろう。


「いいですよ。

じゃあ、着いたらまた電話してきてください」


電話を切り、立ち止まって空を見上げる。

暗い夜空に今のトラさんの電話の声に合いそうな表情を思い浮かべてみる。



一体、何を話すのだろうか。
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