君を忘れない

-3-

新宿から帰りの電車の中でもずっと頭から離れない。

なぜあの人は他の先輩と一緒なことを言わないのか。

一緒なことをしないのか。



いや、もちろん他の先輩でも同じような考えを持っている人は何人かいる。

しかし、そういった先輩たちのほとんどは頻繁にはサークルに顔を出すことはない(と言っても、4年は就活で大抵は頻繁に顔を出さないが)。

なのに、あの人はほぼ毎回のように顔を出してくる。


「次は向ヶ丘遊園、向ヶ丘遊園です」


そんなことを考えていたら、あっという間にアパートのある駅に着いた。

大学の最寄駅ということでサークルの人はこの駅で降りることが多い。

地方から来た人で、うちの大学に通うなら大抵はこの駅だ。

あの人は隣の駅に住んでいる・・・

おっと、あの人は関係ないだろ。





「じゃあ、今日はお疲れさまでした。

ラーメン食べに行く人も、三次会行く人も気をつけて下さいね」


決まり文句のような挨拶をし、みんなを解散させてから一目散にアパートに向かった。

酔ったせいなのか、それとも腹が立ってしまったせいなのか頭がズキズキする。

アパートの前にぼんやりとした光を放ちながら2つ並んでいる右側の自動販売機で水を買って部屋に入る。

部屋に入った瞬間、全身の力が抜けるような感覚をリアルに体験し、そのままベッドに横になった。

今日はなんだか凄く疲れた。


「お前、会長になりたいんだってな。

お前が会長なら何でも協力するよ」


やはり酔っているようだ。

まぁ、いいや。

このまま1年前のあんたを相手にするよ。
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