君を忘れない

-12-

「あれから小山と何か変わりました?」


相変わらず人が少ない火曜日の体育館で四盛が聞いてきた。


「別にそんな変わらないよ」


あれから一週間が経ったが、僕たち2人は何も無かったようにこれまで同様に過ごしている。

もっとも、そっちのほうが2人らしいと言えばらしいし、何だか落ち着く感じがしないでもない。


「あいつも意地っ張りですからね。

つうか、今日ずっと入り口が開くたびに見ていたのって、小山が来るかどうか気にしてたんでしょ」


図星だ。

だけど、なんだかそれを素直に認めてしまっては負けたような気がする。

何に負けたかなんて分かりはしないのだが・・・


「別にそんなんじゃねえよ。

意地っ張りなところが小山のいいところだろ」


そう言って、練習終わりのストレッチをしている四盛の背中に座ってやった。


「この野郎。

何するんだよ」


四盛が大きな声を出したので走ってロッカーへと向かった。

体育館の中は暑いが、梅雨独特のじめじめとした重たい空気ではなく、夏のようなからっとした暑さが妙に心地よかった。


「ほら、早く着替えて降りるぞ」


面倒くさそうに立ち上がる四盛があっという間に体育館の端っこになり小さくなった。
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