君を忘れない

-2-

静かだ。



この病室には俺を含めて三人の患者がいて、いつもはそれぞれの見舞いの人、問診の先生との会話、テレビの音などが飛び交っている。

しかし、今は俺だけが一人病室に取り残され、とても静かだ。

こうも静かだと、自分の病気のことやこれから先のことを考えてしまう。

恐らく、この病室で一番病状が重いのは俺だろうな・・・


コンコン


病室のドアをノックする音が聞こえた。

検温の時間には早いし、問診は午後からの予定だから、誰かの見舞いに来たのかな。


「はい、どうも。

ちょっとだけ騒がしくなりますよ」


「ヒメ!」


ちょっと暗くなりかけていたから、こいつの登場はちょうどいい。

しかも、ラッキーなことに他の患者は誰もいないから、ある程度騒いでも看護師さんに怒られることはない。

別に他の患者と仲が悪いわけではない、むしろ逆でこいつが来ると他の患者を巻き込んで騒いでしまうので、看護師さんから病室全体が怒られてしまうのだ。


「あれ、他の患者さんは?」


「二人とも出ているよ。

これ以上、看護師さんに怒られたくないからちょうどいいよ」


「あっ、今日は私もお邪魔します」


ヒメの後ろからもう一人、同じゼミの後輩である藤田が顔を出してきた。

この二人はゼミだけではなく、サークルも一緒だから仲がいいのだが、見舞いに一緒に来るのは初めてだ。

というよりはうちの学部はゼミが三年からだから、五月に入院した俺はあまり三年と顔を合わしておらず、後輩が見舞いに来たこと自体が初めてだった。
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