銀河の流星
彼はそんな惑星が好きだった。

思うがままに山野を駆け抜け、小高い丘に立ち、どこまでも続く樹海を眼下に見下ろす。

広大な大地。

翠玉色の空はどこまでも澄み渡り、爽やかな空気と風が、彼の質のよい毛並みを心地よく撫で付ける。

ここには何でもあった。

彼の故郷では失われてしまった野山も、美しい水源も、豊饒の地も。

ここには何もなかった。

彼の故郷には蔓延っていた生活を脅かす天敵も、自然を破壊する公害も、目障りな人工の建築物も。

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