結婚式


「……レイナード、これはどういう事だね」

フィリップ陛下がじっと、アスランの父を睨みつける。
突然の状況についていけない父は顔色を青くする。

息子が突然姫との結婚を投げ出して使用人と一緒に逃げ出した。
言葉にしただけでも彼には処理しきれない状況。


「あ、いや……その……」

怒り心頭のフィリップを前に、どう答えればよいのか分からずどもるばかり。


「場合によっては貴様の首を!」
「お父様、おやめになって!」

怒りにまかせて怒鳴り散らそうとする父を、アンジェラが止めた。

「し、しかしアンジェラよ……。お前も突然逃げ出されては気分も悪いだろう……」

「私はよいのです。真に愛し合う二人が結ばれるのが、よっぽど素敵ですもの」

にこりとアンジェラは笑う。


その場すべてが静まりかえった。


「結婚は、やめにしましょう。結婚をせずとも両国は平和ですわ」

アンジェラの言葉だけが教会の中で聞こえてくる。

彼女によって、教会内でのもめ事は静まった



後日、二人の婚約は解消。
それが新聞で両国に報じられた。

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