ペテン師の恋
「失礼します」



私は一礼してお客の隣へ座る。



「朱美ちゃん、会いたかったよ~、また一段と綺麗になったね」



なよなよした男は、本当は貧乏人。



知り合いにつれてこられて、私と出会い、一目惚れしたらしく、知り合いにお金を借り、ヤミ金に手を出したりしてまでも私に貢いでくれる。



「久しぶりね、山田さん。最近顔見せてくれなかったから、寂しかったよ」



なんて、心にもない言葉をかける。



「朱美ちゃん…」



山田は少し俯いて、突然、顔を上げて私の両手を握る。



「俺…、借金ヤバくてさ…だけど、君に会いたくて…だから…」



私は危機を感じ、ボーイに視線を送る。



ボーイはすぐに気づいて私のテーブルへ近づき、いつでもすぐに助けれる位置で待機した。



「俺、本気で君が好きなんだ!だから…君さえ俺の隣にいてくれたら…」



私はボーイに再び視線を送った。ボーイは頷き、私のテーブルにやって来る。



「失礼します。朱美さん、四番テーブルへお願いします」



それを聞くと、山田は焦って立ち上がり、ボーイに近づいた。



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