Desire kiss


「心菜ちゃん!」


と勝のお母さんの声が聞こえたけど、動揺する心を抑えるために、手を振ってドアを閉めた。

ちらっと勝の顔が見えたけど、じっと自分を視線で追っていてまた加速する鼓動を感じた。


あの綺麗な瞳を見てると、吸いこまれそうになっちゃう。黒い宝石みたいに、キラキラしていて、皆が夢中になるのも分かる気がした。


って、私どうしたんだ、小さい頃から何度も見てきているのに。

ただ単に大きくなっただけで、性格もあんまり変わんな…でもないか。



「…キ、ス…」

体が、すごく火照ってる。温度が唇に集中して、熱をもつ。


ふわっとした感触を思い出し、指を口に這わせる。

そしていきなりぎゃあーって心で叫んで、その場に座り込んだ。


今考えたら、なんてことをしてしまった…!地味にファーストキス!接吻だよ!


夜風が心地よく感じるほど、顔が真っ赤になって、バクバクと破裂しそうな心臓が定期的になる。


「どうしよう、どうしよう…!なんで、こんな恥ずかしい事…!うわあ…!」


一人不審者のように唱えながら、少し震える手で顔を隠した。


信じられない、なんだか泣きそうになる。


勝が、分からない。

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