Desire kiss


「かたづけしなさ――いっ!!」

その瞬間、地を揺るがすような大音量で叫ぶ。一瞬だけリアルに家がぐらりと揺れた様な気がした。


「もちろんです!」と、二人揃って声をそろえる。

怒りMaxだったせいか、湯気がでる勢いで二人を非難を浴びせた。


「仁!あんたは私の大事なへそくり(…言っちゃった)で買った花瓶を割り、そして今日!!家をめちゃくちゃにした!!こうなったら終身刑よ!」

「終身刑!?」

素っ頓狂な声を上げ、仁は唖然とする。緑はさりげなーく、この場から退散しようと試みる。


「こんのみどり!」

「え、俺の事!?」

「あんたの罪は仁よりも重いわ!年頃の乙女を辱める暴言をはき、そしてその住処を荒らすという凶荒におよんだ!よってこの家に近寄る権利を剥奪する!」

「ちょっと待て!」


なんだこの迫力満点の華麗な弁舌は…言い返せないと緑は冷や汗をかいて焦っている。


「緑兄ちゃんがいないとバスケがうまくならないよ!!」


仁の悲痛な叫びに、うっと言葉がつまる。


――…私はこんな声に弱い。

< 36 / 122 >

この作品をシェア

pagetop