神龍の宴 覚醒の春
「あいつが君を殺すはずないさ。アナストリアは今でも君を愛しているんだから」


「アナストリアが私を愛してる?まさか…」


アデュスはハダサの目を見据えて、また笑った。


「アナストリアと生き別れたのは16年も前の子供の頃よ。確かに…戦災を共に生き抜いて、身寄りのない私には兄のようなものだったけど」


ハダサはしかし込み上げる不安を隠そうともせずに、強くアデュスを抱き寄せた。


二人の足元に、アデュスの手にしていた苗が転がる。


ハダサはアデュスの髪に顔を埋めて、呻くように言った。


「エフォナには行かせない。どんなことがあっても、アナストリアの元には行かせない」



苦しくなるくらい強く抱きしめられながら、アデュスはハダサの背中に手を回す。


そして小さく呟いた。


「そんなこと…無理よ…。出来るわけないわ」







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