【完】TEARS−ティアーズ−


《まぁ、気持ち伝えるにしろ、片想いをするにしろ、乃亜のペースですればいいんじゃね?
てか恋のやり方なんて人それぞれだし。
兄ちゃんにはわかんねーよ》



そういうもんなんだ。


その後、お兄ちゃんの恋はどうやってるの? なんて詳しく教えてもらおうとしたのに。

《ああ、俺今日は当直だから! じゃあな、頑張れよ》

って電話を切られてしまった。


携帯を鞄に入れて、再び郁君を見つめる。


やっぱり胸はドキドキと音を立てて。


好き。


そう思うと胸がムズムズして、今度はなんだか恥ずかしくなってきた。


恋って忙しいんだ。

そう思うと、また胸が苦しくなった。
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