【完】TEARS−ティアーズ−


どういう関係?

そう聞かれて思い出したのは、この間のこと。



郁君と初めてのデートして。

初めてのキスをした。

『郁君はあたしの彼氏なの?』

ってそう聞いたら、

『じゃなきゃ……こんなことしねぇよ』

って、もう一度優しいキスをしてくれて。

郁君は、高峰さんの車からあたしを連れ去った後から、あたしと付き合ってるつもりでいたって言ってくれて。

それをわかってなかったあたしは怒られて。


家に帰ってからも、あたしは夢みたいーって何度も思っちゃって。

寝て起きたら、なかった事になるんじゃないかって寝るのが恐くなって。

郁君にメールしたんだ。

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今日のことって本当だよね?
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って。
そしたら、

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本当だよ
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って、絵文字も何もないメールが返ってきた。


だから、あたしは郁君の“彼女”でいいんだよね?


未だ不安に思ってしまう、自信のない彼女だけど。


あたしは郁君の彼女なんだ。



「あ、あの。あたしは郁君の……」

「最近」



宮坂さんと声が重なって。

あたしは黙ってしまった。


それを気にする事なく、宮坂さんが続ける。
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