【完】TEARS−ティアーズ−


「あー……今日の事は正宗から聞かされてなかったし」



そう言った郁君の表情はくもってて。

彼女さんの事を考えてるんだろうなって思ったら、胸がチクンッて痛くなった。



「……てかさ」



そう郁君が言おうとした時、



「え? た、高峰さん!?」



あたしの声が重なる。



あたしの目の前に、突然止まった黒い車。

運転席の窓がゆっくりと開いたと思ったら、そこには高峰さんが居て。



「え? 誰?」



あたしと高峰さんを交互に見る郁君。


だけど、あたしは運転席から降りてくる高峰さんから目が離せない。



なんで……ここにいるの?
< 81 / 371 >

この作品をシェア

pagetop