アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女

彼女



「亜美」



伸也さんの低い声が部屋中に響き渡る。



この後の言葉を聞きたくない。



「俺はお前が好きだ」



「可哀想だからって……」


「最後まで聞け」



私が口を挟んだ途端、伸也さんの声が少し大きくなる。



「俺はお前をその辺の女と、同じ扱いにした覚えはない。お前と出会って、初めは厄介な奴だ程度にしか思ってなかった」



伸也さんの本音が胸に突き刺さる。



「でも、お前を見てて昔の俺に似てる気がしたんだ。死ぬことを恐れず、誰も信用しない。そんなお前をほっとけなかった」



「伸也さんの昔?」



「俺の昔話は後でゆっくりしてやるよ」



「うん」



「だから、溜まり場に行かせて、目の届くところに置いておいた。でも、お前を知れば知るほど、俺はお前に惹かれていった。惹かれていったというよりは、愛おしく思った。俺が守りたいと思ったんだ」



もう、この言葉だけで充分かもしれない。



今、私は好きな人に幸せな言葉をもらってる。


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