アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女


そこには見知らぬ男が数人。



知らない人もいることはあるけれど、いつもは何人か顔見知りがいる。



でも今日は見たことのない顔ばかり。



「恭は?」



私に近づいてきた男に聞いてみた。



「後で来るよ。それまで俺達と楽しんでよう」




男が不敵な笑みを浮かべた。




怖い。




反射的に、私は逃げた。



このまま、ここにいることは危険な気がして  



カラオケのドアを力任せに開き、外へと出た。



走りながら振り返ると、男達は追いかけてくる。



地下鉄へと向かって走るけど、人が多くてうまく走れない。



逃げても逃げても男は追いかけてきて、このまま人ごみの中を走っていたら捕まってしまう。



そう感じた私は小さな小路に入った。



ここなら逃げ切れるかもしれない。と思った瞬間、私の前には大きな壁が立ちはだかった。
< 27 / 688 >

この作品をシェア

pagetop