アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
車は5分も走らないで停車した。
「着いたから」
猛は遠慮気味に、そう言うと車を降りた。
「ここどこ?」
「伸也さんのマンション」
この大きなマンションがあの人の物?
一体、伸也さんは何者なんだろう?
「これ全部?」
「そう」
「伸也さんは、ここの最上階に住んでて、ここの一室を俺らのたまり場に使わせてくれてる」
「へぇ」
「行こう」
オートロックの入り口には、大きな石の飾り物が置いてあって、エレベーターは2つもついている。
伸也さんは、パパくらいお金持ちなのかもしれない。
もしそうなら、伸也さんには関わりたくない。
お金を持っている人間は嫌い。
ママの恋人も、だから嫌いだ。