アイシテル 街を仕切る男×傷を負った少女
死んだら眠たくなくなるかな?
盛り上がる人込みを見ながら、そんなことを考えていると、反対車線を伸也さんが歩いていた。
ピンクのドレスを着た女の人に腕を組まれながら、楽しそうにお喋りしている伸也さん。
女に優しく出来るんじゃん。
女にあんな顔して話せるんじゃん。
私の前では怒った顔ばかりなのに。
この時、気づいてしまったんだ。
自分の気持ちに。
伸也さんを独り占めしたいという自分の気持ちに。
でも、こんな汚れた体じゃ、もう恋なんてできない。
私には好きな人を作る資格なんてない。
「亜美!!!」
叫び声と共に聞こえるクラクションと、タイヤと道路の摩擦音。