時空の森と悪戯な風

その日に見た夢には、あの森と、亡くなった父が出てきた。



『弥生…素直に話しなさい。お父さんが言えるのは、ここまでだよ…』



光の中から銀杏の葉が、まるで花吹雪のように、輝きながら降ってくる。



『弥生…大丈夫だよ…』



父の優しい声が木霊する。



『大丈夫だよ…』



光がだんだん小さくなって、消えそうになる間際、別の声が聞こえた。






『…さみしいよ…』










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