2人のゴール
☆1☆

いつのまにか

【咲月 side】

「ごめんなさい」
 え?
 やっぱり……。
 私は小さくうなずいた。

「波香、トイレ行こ」
「うん」
 
 トイレに入った瞬間、涙があふれ出した。
 私、石橋咲月は、1年間片思いしていた亮にふられた。
 今までにしたことのない、本気の恋だった。
 でも、しょうがない。亮は私のこと好きじゃないんだから。

「咲月、大丈夫?」
 波香は、心配してくれたみたいで、トイレから出てこない私に声をかけてくれた。
「うん」
 私の涙は、止まることなく、あふれてく。
 人生初の告白。
 ふられる時の悲しさなんて、知らなかった。
 
 ――キーンコーンカーンコーン。
 
 業間休みの終わりのチャイムが鳴った。

 もう行かなきゃ。

 そう思って、トイレから出た。

「咲月、大丈夫?」
 波香が心配そうな顔してこっちに来た。
「うん。もう大丈夫」
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