2人のゴール

さびしい雨の帰り道

【咲月side】

 今日の天気は雨。
 さやかは塾で一緒に帰れない。
 波香は熱で学校休んでるから、今日は私1人で帰る。

 いつもの道で帰っていた。
 私の前を、慎也が歩いてた。

 慎也も1人で、この道には私と慎也の2人しかいなかった。
 
 雨の音、私と慎也の足音。
 それだけしか聞こえない。

 ずっと、慎也のことを考えてしまう。

 慎也はあれからも、普通に接してくれる。
 何でだろう。
 私に気をつかってるのかな?
 そんなとこが優しいんだよね。
 いつもは意地悪なのに。
 こんな時に、優しくしないでよ。
 優しくしてほしいときに、優しくしないでいつも意地悪ばっか。
 優しくしてほしくない時に優しくして、すごく辛くなるじゃん!
 慎也には分かんないでしょ?
 嫌われてなかったことは、よかったけど……。
 そんなに優しくするなら、話しかけないでよ。
 話しかけてくれないのも辛いけど、慎也に優しくされる方がすごく辛いよ。
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