2人のゴール
 
「卒業生、退場」
 よっしゃー!!!
 やっと終わる。
 泣いてる先輩が意外に少なかった。
 小学校の時の卒業式には泣いてる人たくさんいたのに。

 教室に戻って、黒板を見る。
 帰りの会やって帰れると思ったけど、3年生の先輩の見送りがあった。
 しかも30分。
 200人以上いても、30分はかからないだろ。
 かかったとしても、20分くらいだろ。

 正門のところへ行って、3年生の先輩を見送る。
 でも、3年生の先輩が来ない。
 来ても、まだ2人ぐらい。
 後輩に上靴あげてるし。
 いらねぇだろ。
 学年で色違うんだし、使えないじゃん。
 名札だったら、使えないけど、小さくて邪魔にならないからいいけど、上靴はないでしょ?兄弟がいるわけでもないのに。
 咲月は、4組の男子の方を見てる。
 やっぱり、4組に好きな人がいるのかな?

 3年生の先輩は後輩や先生たちと話してるし。
 30分かかるわけが分かった。

「おぉ~。吉田~」
 林原先輩。
 バスケ部もと部長。
「林原先輩、卒業おめでとうございます」
 林原先輩は、眼鏡かけてて、真面目そうに見えるけど、服装が少しだけ乱れている。
 まぁ、すごくしっかりしてて真面目なんだけど……。
「あ、石橋さんいる?」
 石橋って、咲月?
 咲月に、林原先輩が何の用?
「えっと……そこにいますけど……」
< 79 / 123 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop