後輩はダメですか?①

俺の美沙―翔―

小6の雨の日。俺はガキながら運命と言うものを感じた。
イチゴ柄のピンクの傘を差す、お姉さん。
お姉さんと言っても…いや、似合わないな。
小柄でかわいらしい人だった。

それが…今の俺の彼女『美沙』だったとは…。


美沙は俺にとって大切な人。
絶対に泣かせたりなんてしない。

そんな美沙が…今は泣いている。
原因はわからないが、震えている。俺は怒りを覚えた。

美沙は無理して笑おうとしている。
そんな美沙を見てると、守れなかったことが悔しい。
もしかしたら、俺の存在で美沙を傷つけているのか…。
「俺こと誰かに言った?」
美沙は黙ってうなずく。
「そのことについて、言われたのか…」
「違う!翔くんは悪くないよ…ただ」
美沙の声が、また震えだした。
「わ、笑ってくれなかったの」
「ん?」
「いつもはおめでとうって…言ってくれる人なのに。笑ってくれなかった」
「怖かった?」
「こわ…っ…かった…」

相当つらかったんだろう。
美沙をここまで追い詰めることができるのは、あの人しかいない…。
『小平 諒』先輩ただ一人…。
幼馴染って言ってたな、そういえば。
先輩だろうと、容赦はしねえ。俺の美沙を傷つけたんだ、黙ってるわけねえだろ。








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