うらばなし
姫様ご立腹


「ぷんすか、ぷんすか」


……、姫様ご立派、なんて文字との誤変換かと淡い期待を抱いてましたが。どうやら、怒っていますね。


「ええ、とても」


あまりの怖さに正座してます。足がピリピリしてきました。

因みに、何に怒っているのですか。


「クロスから面白いことを聞きましてねぇ。あなたと私には通ずる部分があると」


少なからずはあるとは思いますが……


「いえいえ、まったく。欠片や粒ほどありません」


そうも言われると傷つきますね。


「傷ついてください」


遠回しに切腹要求されているような。そんなに私めが嫌いでしたか。


「いいえ、大好きですよ。ただ、それ故に嫌いという感情が芽生える時がある」


奥深いなぁ。
確かに好きという感情があるから、嫌いなんて感情も出ますからね。


ですが私めは、姫が大好きですよ。嫌いというのは芽生えません。


「あなたと私は違いますから。ええ、とても違う。あなたが、“全てに諦めたから、自他に期待する”のならば、私はもはや“全ては諦めず、自他は期待に応えている”のですから」


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