うらばなし

ーー

翌日。午後九時。

渉(また遅くなってしまった。今日も地方に行ったけど、あまりいい収穫はなかったな。帰ったら、何を食べよう)

渉「……」ピタッ。

渉(周りには誰もいない。気配もなし。虫一匹もいないような感じだけど)

渉「冬月くーん」

冬「なにぃ、わたるんはん!」(木の上より登場)

渉「サスケで一位取れますよ、冬月くん……。大丈夫ですか、あんな高い所から降りて」

冬「平気どすえ。もう、僕を呼ぶやなんてぇ、往来でイチャイチャ禁止言うたのはそっちやないのぅ。昨日の害虫駆除のご褒美なん?今日は腕組んで、ベタベタしてええん?暑いからイヤ?ダメ?」

渉「聞きながらも、すっごい密着されますね」


冬「ベタベタ嫌なら、僕の腕斬ってえな。蜘蛛切貸しますえ?」

渉「いえ。そんな事態になるなら、遠慮します」

冬「わたるんはーん」(ベタベタベタベタ)


渉「あの、冬月くん」

冬「なにぃ?」

渉「良かったら、僕の家で夕食食べませんか。少し遅いですが」

冬「わたるんはーん!」(頬すりすりすりすり)

渉「こんな感じに僕が冬月くんのことを気づいていれば、夕食にも誘えるので、今度から隠れないで下さいね」

冬「あぁ、わたるんはんの無防備さに理性がーーっっ!ええよ、わたるんはん。今夜はわたるんはんの好きに、し、て、も」

渉「最近、白和えに凝っているので、メニューは和食にしますね」

< 1,539 / 1,773 >

この作品をシェア

pagetop