うらばなし

ーー

ハーメルン「おとうさん、トリックオアトリート!」

スプガウス「また面倒なイベントが。どうして子供向けのイベントが年に何回もあるのか、理解に苦しむよ」

ハ「年に何回じゃないよ、毎日!こどもが楽しめることは毎日なくちゃ!今日はね、ハロウィン!ハロウィン終わっても、こどもにお菓子をいーっぱいあげなきゃ!

あ、でも、今日はハロウィンだから、可愛くなったこどもを、大人は可愛いって抱っこしなきゃいけないんだよ」

ス「五番目のようなトンガリ帽子にマントを羽織っていると思えば」

ハ「えへへー、おかあさんとお揃いなのっ!おかあさんはきちんとお菓子くれたんだよ!手作りのっ!愛情が詰まった手作りのクッキー!こどもにあげるお菓子は、みんな手作りでなくちゃ!こどもは危ないから、オーブン使っちゃダメなの。だから、大人が変わりに手作りのお菓子を作るんだよ!」

ス「僕がやると思っているのかい?」

ハ「やーるーの!大人なんだから、おとうさんなんだから!」

ス「大人ではあるが父ではない。そうして、僕は君の理想の大人にはならないよ」 

ハ「う、ううー」

ス「泣いても耳障りなだけだ」 

ハ「もういいもん!他の優しい大人に手作りのお菓子貰うもん!」

ス「いっておいで。二度と来れないように、出来れば遠くへ」

ハ「行くもん!一人で!」

ス「ご自由に」

ハ「行くもん!一人で!もうお外暗いけど、おとうさんがイジワルするから出ていくもん!」

ス「……」

ハ「暗くて寒いお外でも、おとうさんがイジワルだから出て行くもん!一人ぼっちで行けるもん!」

ス「……」


ハ「ううーっ」(スプガウスの膝にひっつく)

ス「出て行くんじゃなかったのかい」

ハ「うーっ」(首横振り)

ス「……」

ハ「おとうさん、おとうさん……」

ス「……、はあ。鼻水で汚されるのは勘弁願いたい」(抱っこ)

ハ「おとうさんは、こどもを嫌っちゃだめなんだよ……」

ス「そんな君の設定(家族ごっこ)を押し付けないでくれよ。ほら、口」

ハ「あむ」

ス「それ(チョコ)食べ終わったら、行ってくれ」

ハ「なら、ゆっくり食べるもん」

ス「はあ……」

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