うらばなし


「ともかくも平和な国です」


聞く限りはそうですねぇ。ですが、小さな国となれば他国が攻めてきそうですが。


「昔はありましたねぇ。その時は前統治者である私の父が対応していましたが」


えっ、姫に父親いるんですかっ。


「いますよ。天から落ちてきたわけではありませんから」


そ、そうなのか。かぐや姫的に自然発生かと思っていました。


「それはそれで怖いですよ。まあ、父の力もあって国は今現在まで事なきを得ています。戦争は確かにありましたが、それでも犠牲は最小限で、各国に我が国の力を示せましたから、もう攻めてくる人はいませんよ。もともと特質したほどのこともない小さな国、攻めいるほどのアドバンテージも見つからないでしょうしね」


姫のお父上が強いと聞いて、むきむきマッスルが脳内再生されたんですが。


「いえいえ、穏和な方です。力とは軍事力ではなく、父の術者としての類い稀なる力と言いますか。父も父で誰かを犠牲にするのは嫌ってましたねぇ。もう同じことがないようにと、様々な国と同盟を結んだり、他国で起きた戦争の犠牲者をこちらで受け入れたり、平和のために努力する方でした。その意思は私が現在引き継いでいます」


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