うらばなし
もはや『うらばなし』すらないのだけど、まあいいか


「うっ……」


「姫、どうしたんですか!なんだか顔色が悪いですよ」


「い、いえ、クロス、気にしないでください。少し……うぅ」


「なっ、大丈夫ですか!口元押さえて、吐きそうならもうここで……あ、これにでもっ」


「上着を差し出すだなんて、クロスは優しいですね。ご厚意だけで十分です。クロスの服を汚すわけには……っっ」


「ほんと辛そうじゃないですかっ。汚れようと気にしないでください……って、俺がいたら姫が気を使いますよね!俺、あっちの方に行っているんで!」


「重ね重ね申し訳ありません。しかしながら、この気持ち悪さは致し方がないこと。長い付き合いになると思いますので、ここら辺で堪えなければ、毎回クロスたちに迷惑をかけてしまいます。

自分の足で部屋に戻りますので、どうかクロスはお気になさらず」


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