うらばなし


「君自身が、“生きている”かどうかも分からないからな」


……、生きてるよ。
あなたと会話できんのは、私だけだ。


「君が消えれば、私も死ぬとは正論だが。私も私で生きているのでね、意思がある、自由に羽ばたける。なれば、また別の者の前に現れることもあろう。その時が来れば、君以外の者でも、私は描写(発言)でき、君がいなくとも私は存在(発現)する」


寄生虫だな。
あなたを書けと言われる人が可哀想だ。


「そうして、私を生き生きとさせるのは君以外にあり得ないだろうよ」


誉めてる?


「君が言うところの『可哀想』だろうが、余所に行かず、私が君のもとに居続けるのは心地よいからだ。苗床としては最適だよ。君の中は、私の好きなもので溢れている。無論、君自身も好きだがな」

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